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特別受益の持戻し免除の意思表示の法改正

2019.07.01

特別受益の持戻しとは

まず、「特別受益」とは、相続人が被相続人から生前にもらっていたお金や金銭的価値のあるもののことをいいます。
共同相続人の中に特別受益を受けていた者がいる場合、これを考慮しないで法定相続分どおりに遺産を分けると不公平が生じます。

このような不公平を是正し、各相続人間の公平を図るために、特別受益分を考慮した上で具体的相続分を計算することを「特別受益の持戻し」といいます(民法903条1項)。

例えば、遺産が9000万円、相続人が子A、子B、子Cの3人で、子Aだけが生前に3000万円を受け取っていたとすると、まず9000万円の遺産に子Aが受け取った3000万円を「持戻し」、9000万円+3000万円=1億2000万円が遺産であるとしたうえで、子3人へ分配し(各法定相続割合3分の1)、1人4000万円を受け取ることになります。

特別受益控除後の具体的相続分としては、子Aは1000万円(生前に3000万円受け取っているので、トータルで4000万円)、子Bは4000万円、子Cは4000万円となります。


特別受益の持戻し免除の意思表示とは

被相続人が持戻しを希望しない意思表示をした場合に、持戻しを考慮しないで相続財産を計算することをいいます(民法903条3項)。
持戻し免除の意思表示の方法に決まった方式はありませんが、言った・言わないの争いを生じさせないために、被相続人が遺言に「持戻しは必要ない」と記載しておくと、他の相続人はそれに従う必要があります。

よって、他の相続人は「○○には特別受益があるから相続分を減らすべきだ」と主張できなくなります。ただし、遺留分の制限は受けます。

★配偶者に対する持戻し免除の意思表示の推定規定とは

今回の法改正で民法903条に次のような規定が加えられます。
「婚姻期間が20年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地について遺贈又は贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈又は贈与について第1項の規定を適用しない旨の意思を表示したものと推定する。」

今回の法改正がされる前は、長年夫婦で居住していた自宅について、夫が妻に自宅を生前贈与した場合においても、遺言で特別受益の持戻しの免除の意思表示をしていない限りは、自宅の生前贈与が特別受益として取り扱われていました(現行民法903条3項)。

今回の法改正において、結婚20年以上の配偶者に対する自宅の生前贈与については、特別受益の持戻し免除が推定されるとして、特別受益の取扱いを受けなくなりました(改正民法903条4項)。

そのため、妻は、夫から自宅の生前贈与を受けたとしても、特別受益として遺産分割のときに取得できる遺産がその分減ってしまうという不利益を受けなくなるという点で、配偶者の保護の拡大が図られました。特別受益の持戻し免除の意思表示の推定規定は、2019年7月1日より施行されます。

★生前贈与について持戻す期間を相続開始前の10年間に限定

今回の法改正がされる前は、遺留分の基礎財産に含める贈与の期間制限はなく、時期を問わず遺留分算定の基礎となる財産の価格に含めるとされていました(現行民法1029条)。
つまり、相続人に対する特別受益に該当する贈与は、相続開始の何年前になされたものであっても、基本的に遺留分算定の基礎となる財産に含めます。

これに対し、今回の改正法では、相続人に対する贈与は、相続開始前の10年間にされたものに限り遺留分の基礎財産に含めることとなります(改正民法1043条)。

これにより、相続人に対し、相続開始より10年以上前に贈与された財産は、遺留分を算定するための財産の価額に含まれないことになります。

上記の特別受益に関する法改正については、2019年7月1日より施行されます。

筆者紹介

柳沢 賢二
柳沢法律事務所
弁護士

一、弁護士として、依頼者のために、一つ、一つの案件について、専門家としての①専門性の高いサービスを、②迅速に提供することを心がけています。そして、常に依頼者のために、一つ一つの案件を全力で取り組んでいきます。

二、今、高齢者社会において、相続の問題は誰もが直面する重要な問題だと思います。今までの自分の人生の集大成を納得のいく形で終えれるように、残された家族の方々が困らないように、専門家として皆様の力になれる適切な解決方法の提案やアドバイスをしていきたいと思います。

三、相続の分野でも、紛争後の裁判所での訴訟業務だけでなく、紛争を事前に防ぐ予防法務的な視点から、遺言書の作成、任意後見・成年後見の活用、事業承継のアドバイスなどにも力をいれ、皆様の力になれるアドバイスをしていきたいと思っています。

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